前回の記事では、スケッチに厚みを付けて立体にする「押し出し」を使って、板を作りました。今回は、押し出しと同じくらい基本となる「回転」を使って、中に穴が開いた円柱(円筒)を作ります。
「回転」は、スケッチを中心線のまわりに回転させて立体にするコマンドです。軸や、丸いブッシュのような、丸い形の部品を作るときに使います。
この記事では、外径Ø40 mm、内径Ø20 mm、長さ60 mmの円筒(中に穴が開いた円柱)を作りながら、「矩形コーナー」「中心線」「スマート寸法」「回転ボス/ベース」の使い方を順番に説明します。
今回も操作画面のスクリーンショットを多く載せ、クリックする箇所は赤い枠で囲ってあります。SolidWorksの操作が初めての方は、先に前回の押し出しの記事を見ておくと、スケッチや寸法の入れ方が分かりやすいです。

操作前の準備
操作を始める前に、次の内容を確認してください。
- SolidWorksを起動し、何も作っていない新規のパート(部品)を開いておく
- 数値の単位はmmで入力します。この記事の画面では、寸法の入力欄に「mm」と表示されます
この記事の画面は、SOLIDWORKS 2022の日本語表示で撮影しています。
SolidWorksはバージョンや設定によって、画面やメニューの名称、配置が変わることがあるため、お使いの画面と異なる場合があります。
回転コマンドの流れ
平面に2Dスケッチを作成する
最初に、図形を描くための平面を選び、スケッチを開始します。
① 左側のデザインツリーで「正面」をクリック
画面左側のデザインツリーから、画像の赤枠の「正面」をクリックします。クリックすると、「正面」が青く選択された状態になり、小さなアイコンのメニューが表示されます。

② 「スケッチ」タブの「スケッチ」をクリック
画面上部のツールバーで、「スケッチ」タブ(赤枠)を選びます。左端にある「スケッチ」(赤枠)をクリックすると、選んだ平面でスケッチが始まります。

③ スケッチモードに切り替わったことを確認
スケッチが始まると、ツールバーの左端が「スケッチ終了」(赤枠)に変わり、画面左上に「正面」(赤枠)と表示されます。画面左下の表示も「*正面」になり、ビューが正面向きになります。

長方形を描く
円筒の断面(壁の部分)になる長方形を描きます。原点を長方形の左下の角にして、描きます。この段階では、大きさは大まかで構いません。寸法はあとで決めます。長方形と中心線の間は、あとで寸法を入れて、すき間(穴の半径)をつくります。
④ 「矩形コーナー」をクリック
ツールバーの左側にある、四角形のアイコンの右の「▼」(赤枠)をクリックします。メニューが開くので、「矩形コーナー」(赤枠)をクリックします。矩形コーナーは、長方形の向かい合う2つの角の位置をクリックして描くコマンドです。

⑤ 原点をクリック
画面中央の、赤い矢印が出ている点が原点です。赤丸の位置をクリックして、長方形の最初の角を決めます。

⑥ 右上の適当な箇所をクリックして、緑のチェックで確定
マウスを右上に動かして、赤丸のあたりでクリックします。数値はおよそで構いません。長方形が描かれると、左側に「矩形」のパネルが表示されます。パネル左上の緑のチェック(赤枠)をクリックして、長方形を確定します。

回転の軸になる中心線を描く
回転の軸(回転の中心になる線)として、中心線を描きます。原点から右へ、水平に引きます。このとき、長方形の右端より外側まで長く引くのがポイントです。あとで寸法を入れるときに、長方形の外に出ている部分をクリックして、中心線を選ぶためです。
⑦ 「中心線」をクリック
ツールバーの左上にある、直線のアイコンの右の「▼」(赤枠)をクリックします。メニューが開くので、「中心線」(赤枠)をクリックします。

⑧ 原点をクリックして、右の空いた場所をクリックし、緑のチェックで確定
1回目は原点(赤丸)、2回目は長方形の右端より外側で、原点と同じ高さの場所(赤丸)をクリックします。線が水平になると、左側の「直線プロパティ」に「水平」と表示されます。線は、一点鎖線(長い線と短い線を交互に並べた線)で表示されます。パネル左上の緑のチェック(赤枠)をクリックして、確定します。

寸法を入れる(スマート寸法)
長方形の大きさを、スマート寸法で数値に決めます。横(円筒の長さ)を60、内側の直径をØ20、外側の直径をØ40にします。Ø20とØ40は、どちらも中心線をはさんで寸法を取ります。
⑨ 「スマート寸法」をクリック
ツールバーの左側にある「スマート寸法」(赤枠)をクリックします。

⑩ 長方形の上の辺をクリックし、その上の空いた場所をクリック
1回目は長方形の上の辺(赤枠)、2回目は辺より少し上の空いた場所をクリックします。2回目にクリックした位置に寸法が置かれ、「変更」ダイアログが開きます。入力欄には、およその値(この画面では57.44 mm)が入っています。

⑪ 入力欄に「60」と入力して、Enterキーを押す
入力欄(赤枠)に、数字の60を入力して、Enterキーを押します。単位はmmです。長方形の横の長さが60 mmになります。

⑫ 長方形の下の辺をクリックし、中心線をクリックして、その外側の空いた場所をクリック
ここからが、直径の寸法です。まず、内側の直径Ø20を入れます。「スマート寸法」はそのまま使えます。1回目は長方形の下の辺(赤枠)、2回目は中心線の、長方形から外に出ている部分(赤枠)をクリックします。3回目は、中心線をはさんで、長方形とは反対側(下側)の空いた場所をクリックします。すると、中心線の上下に寸法の線が出る直径の寸法になり、「変更」ダイアログが開きます。この画面では、20.37 mmが入っています。

⑬ 入力欄に「20」と入力して、Enterキーを押す
入力欄(赤枠)に、数字の20を入力して、Enterキーを押します。長方形の下の辺が、中心線から半径10 mmの位置になります。寸法には「20」と表示されます。

⑭ 長方形の上の辺をクリックし、中心線をクリックして、その外側の空いた場所をクリック
次に、外側の直径Ø40を入れます。1回目は長方形の上の辺(赤枠)、2回目は中心線の、長方形から外に出ている部分(赤枠)をクリックします。3回目は、Ø20のときと同じく、中心線をはさんで、長方形とは反対側(下側)の空いた場所をクリックします。「変更」ダイアログが開きます。この画面では、40.37 mmが入っています。

⑮ 入力欄に「40」と入力して、Enterキーを押す
入力欄(赤枠)に、数字の40を入力して、Enterキーを押します。長方形の上の辺が、中心線から半径20 mmの位置になります。

⑯ 緑のチェックをクリックして、寸法の入力を終了
長方形の上に60、右に20と40の寸法が入ります。左側の「寸法配置」パネルの緑のチェック(赤枠)をクリックして、寸法の入力を終了します。長方形の高さは、(40 − 20) ÷ 2 = 10 mmになります。これが、円筒の壁の厚さです。

⑰ 長方形の左の辺と原点をクリックし、「一致」をクリック
このままでは、長方形の左右の位置が決まっていません(左の辺が、青い線のままです)。そこで、長方形の左の辺を、原点に合わせる拘束(図形の位置や関係を決めるルール)を追加します。まず、長方形の左の辺をクリックし、続けて原点をクリックします。左側に「プロパティ」のパネルが開き、「選択エンティティ」(赤枠)に「直線2」「点5」のように2つが表示されます。この画面では、状態が「未定義」です。「拘束関係追加」の中の「一致」(赤枠)をクリックします。

⑱ 線がすべて黒になったことを確認
「一致」を追加すると、長方形の線が黒に変わります。黒い線は、位置が決まっている(完全定義の)状態です。青い線は、まだ位置が決まっていない状態で、マウスで動かせてしまいます。すべて黒になったことを確認して、パネル左上の緑のチェックをクリックします。

スケッチを終了する
図形を描く作業が終わったら、スケッチを終了します。この記事では、スケッチを終了してから回転を行います。
⑲ 「スケッチ終了」をクリック
ツールバーの左端にある「スケッチ終了」(赤枠)をクリックします。スケッチが終了すると、ツールバーの左端が「スケッチ」に戻ります。

回転コマンドで、スケッチを3D化する
描いた長方形を、中心線のまわりに1周(360度)回転させて、円筒にします。長方形と中心線の間に、すき間があるので、中心に穴が開いた形になります。
⑳ 「フィーチャー」タブの「回転ボス/ベース」をクリック
ツールバーの「フィーチャー」タブ(赤枠)を選びます。上の段にある「回転ボス/ベース」(赤枠)をクリックします。クリックすると、左側に「回転」のパネルが開きます。ビューが斜めの向きに変わり、画面にプレビュー(黄色の円筒)が表示されます。

㉑ 回転軸と角度を確認して、緑のチェックをクリック
「回転」パネルの「回転軸」の欄(赤枠)に、先ほど描いた中心線(この画面では「直線5@スケッチ1」)が、自動で入っています。「方向1」の角度の欄(赤枠)は、360.00degです。今回は、1周(360度)回転させるので、この設定のままで構いません。プレビューで、中に穴が開いていることを確認して、パネル左上の緑のチェック(赤枠)をクリックします。

㉒ 無事3Dモデルが完成しました!
画面中央に、外径40 mm、内径20 mm、長さ60 mmの円筒(中に穴が開いた形)が表示されます。左側のデザインツリーには、「ソリッド ボディ(1)」(赤枠)と「回転1」(赤枠)が追加されています。ソリッド ボディは、回転で作られた3Dの立体を表します。回転1は、今回作ったフィーチャーです。

体積で確認する方法もあります。円筒の体積は、π × (20² − 10²) × 60 = 約56,549 mm³です。この記事の手順で作った円筒の体積を、SolidWorksの質量特性の計算で確認したところ、56,549 mm³になりました。
初心者が間違えやすいポイント
- 中心線は、長方形の外まで引く:寸法を入れるときに、中心線をクリックして選びます。中心線を、長方形の右端より外側まで引いておくと、長方形の外に出ている部分をクリックでき、選びやすくなります。
- 直径の寸法は、中心線をはさんで反対側をクリックする:辺と中心線をクリックしたあと、中心線をはさんで、長方形とは反対側の空いた場所をクリックすると、直径の寸法になります。同じ側でクリックすると、中心線からの距離(半径)の寸法になるので、入力する数値が変わってしまいます。
- 「変更」ダイアログの初期値は、仮の数値:寸法を置くと、およその値(この操作では57.44 mmや20.37 mm、40.37 mm)が入っています。数字を入力せずにEnterを押すと、その値のまま確定されます。必ず、目的の数値を入力してからEnterを押してください。
- 回転軸には、中心線を使う:中心線は、一点鎖線(長い線と短い線を交互に並べた線)で表示される線です。「回転」パネルの「回転軸」の欄に、中心線の名前が入っていることを確認してください。
- 緑のチェックで確定する:「矩形」「直線プロパティ」「寸法配置」「回転」のパネルは、左上の緑のチェックをクリックするまで、作業中の状態です。プレビューが表示されただけで操作を終えないようにしてください。
- スケッチを終了してから回転を行う:スケッチ中は、ツールバーの左端が「スケッチ終了」になっています。この記事では、先に「スケッチ終了」をクリックしてから、回転を行います。
- 線が青いままのときは、位置が決まっていない:寸法を入れただけでは、長方形の左右の位置が決まらないことがあります。長方形の左の辺と原点に「一致」の拘束を追加して、線がすべて黒(完全定義)になっていることを確認してください。
- 断面は、中心線の片側だけ描く:円筒の断面は、壁の部分だけです。この記事では、中心線から10 mm〜20 mmの位置にある、高さ10 mmの長方形です。それを中心線のまわりに1周させると、円筒になります。中心線との間のすき間が、穴になります。
うまくいかない場合の確認事項
- 回転のプレビューが表示されない:スケッチを終了しているか、「回転」のパネルが開いているか、「回転軸」の欄に中心線の名前が入っているかを確認してください。
- 直径の寸法にならない:辺と中心線をクリックしたあと、中心線をはさんで、長方形とは反対側(下側)の空いた場所をクリックしたかを確認してください。同じ側でクリックすると、中心線からの距離(半径)の寸法になり、20と入力しても、穴の大きさが違ってしまいます。
- 穴が開かない、または穴の大きさが違う:寸法のØ20とØ40を確認してください。長方形が、中心線にくっついていると、穴は開きません。
- 中心線がクリックできない:中心線の、長方形から外に出ている部分をクリックしてください。外に出ていないときは、中心線を引き直してください。
- 「ソリッド ボディ」がデザインツリーにない:「回転」のパネルの緑のチェックをクリックしていない可能性があります。パネルが開いたままになっていないか、確認してください。
- 画面の表示が違う:SolidWorksのバージョンや設定によって、アイコンの配置や名称が異なる場合があります。ツールバーの上にマウスを重ねると、コマンド名が表示されます。
まとめ
外径Ø40 mm、内径Ø20 mm、長さ60 mmの円筒を作る手順は次のとおりです。
- デザインツリーで「正面」を選び、「スケッチ」をクリックする
- 「矩形コーナー」で、原点を角にした長方形(円筒の断面)を描く
- 「中心線」で、原点から右へ、長方形より長い線を引く
- 「スマート寸法」で、横を60、中心線をはさんだ直径を、内側Ø20、外側Ø40にする
- 「スケッチ終了」をクリックする
- 「回転ボス/ベース」で、回転軸と角度(360度)を確認して、緑のチェックをクリックする
この「スケッチ、中心線、回転」の流れは、軸やブッシュ(穴の開いた円筒の部品)のような、丸い部品を作る基本です。ほかの形でも、断面を変えるだけで、同じ流れで作成できます。
