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指示無き公差(JIS B 0405)、指示無き幾何公差(JIS B 0419)について

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指示無き寸法公差と指示無き幾何公差について解説します。JIS規格では普通公差 (JIS B 0405) 、普通幾何公差 (JIS B 0419)で定義されている内容です。最近ではCAD図枠が初めから会社内に用意されているため、JIS規格を覚えている人も少なくなってきました。
ただ今月4月から機械設計を始める新入社員さんも多いかと思いますので、普通公差のJIS規格についてホームページで取り上げることにしました。

意外とベテラン設計者さんでも初期の内容過ぎて、既に忘れてしまっている方もいるかもしれませんので、今回は昔を思い出しながら復習くらいの気持ちでこのページを見ていただければ幸いです。

新田設計

2DCADや3DCADで図面を書く際には、どこの会社でも社内図枠が用意されているため、最近ではJISの等級を覚える必要がなくなりました。
ただ普段何気なく使っている公差の等級は、どのように決まっているのかを理解しておくと1つレベルアップに繋がるかと思います。

特に初めて機械設計をする方や、これから設計を始めようとしている方は是非見ていただければ嬉しいです!

目次

普通公差 (JIS B 0405)

※ISO(国際標準化機構)では「ISO 2768-1」に該当します

それぞれ等級の読み方については下記のようになります。

・精級(せいきゅう)・・・・・F (fine)
・中級(ちゅうきゅう)・・・・M (medium)
・粗級(そきゅう)・・・・・・C(coarse)
・極粗級(ごくそきゅう)・・・V(very coarse)

ちなみに最近の会社内図枠に「極粗級」を表記している会社は殆どなくなっているかと思います。

① 長さ寸法に対する許容差(※面取り部分を除く)

公差等級基準寸法の区分(単位:mm)
記号説明0.5以上3を超え6を超え30を超え120を超え400を超え1000を超え2000を超え
3以下6以下30以下120以下400以下1000以下2000以下4000以下
許容差
f精級±0.05±0.05±0.1±0.15±0.2±0.3±0.5
m中級±0.1±0.1±0.2±0.3±0.5±0.8±1.2±2
c粗級±0.2±0.3±0.5±0.8±1.2±2±3±4
v極粗級±0.5±1±1.5±2.5±4±6±8

※0.5mm未満の基準寸法に対しては、その基準寸法に続けて許容差を個々に指示する

② 面取り部分の長さ寸法に対する許容差

公差等級基準寸法の区分(単位:mm)
記号説明0.5以上3を超え6を超え
3以下6以下 
許容差
f精級
±0.2

±0.5

±1
m中級
c粗級
±0.4

±1

±2
v極粗級

※0.5mm未満の基準寸法に対しては、その基準寸法に続けて許容差を個々に指示する

③ 角度寸法の許容差

公差等級対象とする角度が短い方の辺の長さの区分(単位:mm)
記号説明10以下10を超え50を超え120を超え400を超え
 50以下120以下400以下 
許容差
f精級
±1°

±30′

±20′

±10′

±5′
m中級
c粗級±1°30′±1°±30′±15′±10′
v極粗級±3°±2°±1°±30′±20′
新田設計

角度の許容差を見て、「1°30′」ってなんやねん?って思った方もいるかもしれません。普通どの会社も角度寸法は度数法を使っているかと思います。
「30′」というのは30分という意味ですので、時計をイメージしてもらえると分かりやすいのですが、1回転の半分(1/2)の位置になるので

 1°30′1.5°

という意味になります。

新田設計

弧度法(※360°= 2π[rad]ラジアン)は、ギリギリExcelでも角度変換に使うのでギリギリ分かるのですが、
分(′)とか秒(″)とか今の時代誰が使うねん?って言いたい(小声)

普通幾何公差 (JIS B 0419)

普通幾何公差の方は等級がアルファベットで書かれていますが、普通公差と同じ考え方で下記のようになります。

H・・・精級(せいきゅう)
K・・・中級(ちゅうきゅう)
L・・・粗級(そきゅう)

① 真直度及び平面度の普通公差

公差等級呼び長さの区分(単位:mm)
10以下10を超え30を超え100を超え300を超え1000を超え
 30以下100以下300以下1000以下3000以下
真直度公差および平面度公差
H0.020.050.10.20.30.4
K0.050.10.20.40.60.8
L0.10.20.40.81.21.6

② 直角度の普通公差

公差等級短い方の辺の呼び長さの区分(単位:mm)
100以下100を超え300を超え1000を超え
 300以下1000以下3000以下
直角度公差
H0.20.30.40.5
K0.40.60.81
L0.611.52

③ 対称度の普通公差

公差等級呼び長さの区分(単位:mm)
100以下100を超え300を超え1000を超え
 300以下1000以下3000以下
対称度公差
H0.5
K0.60.81
L0.611.52

④ 円周振れの普通公差

公差等級円周振れ公差(単位:mm)
H0.1
K0.2
L0.5

実際の機械設計現場では、、、

会社内にあるCAD図枠から公差を選択するだけでOK

新田設計

ここまで普通公差のJIS規格について説明してきましたが、実際の設計現場ではCADで社内図枠から使いたい公差を選択することが殆どです。
下図のように〇を付けるだけでOKでです。

会社によっては「板金部品」、「切削部品」、「成型部品」で、公差の等級を図枠を分けて管理しているところもあります。
それぞれの部品製作工程で寸法精度も変わってきますので、新入社員の方は先輩設計者に確認しておきましよう。

終わりに

いかがでしたか?
今回は指示無き公差と指示無き幾何公差のJIS規格について記事を書いてみました。
日頃から何気なく使っている図枠について少しでも理解が深まっていただければ、今回ホームページを更新した甲斐があります。
ホームページの1記事を作成するのに何時間もかかってしまうので、こんな記事を書いて欲しいという要望に毎回答えるのはなかなか難しいですが、なるべく要望あった内容についてはホームページにアップしていこうと思っております。

また企業様向けにCADや図面の講習会なども行っておりますので、何かご相談などありましたらお気軽に公式LINEやDMなどをいただければと思います。(※現在メールアドレスはスパム対策で公開しておりませんが、依頼があれば公式LINEなどで情報展開させていただきます)

今後もCADや機械設計に関する内容をホームページに書いていく予定ですので、もし興味がある方はブックマークしていただければと思います。

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