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【機械設計】よく使う鉄・ステンレス材質の特長と規格一覧

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機械設計において欠かせない材料のひとつが「鉄」と「ステンレス」です。強度・耐食性・加工性などの性質によって使い分けられ、部品設計や製品開発の品質に大きく関わってきます。
本記事では、SS400・S45Cなどの鉄鋼材と、SUS304・SUS430などのステンレス材について、
それぞれの特長やメリット・デメリット、一般的な寸法規格や加工用途まで、設計現場で役立つ情報を一覧表付きで分かりやすく解説します。

新田設計

機械設計現場で「鉄」と言うときは、実際には「鉄鋼材料」を意味していることが多いです。

特に炭素を0.02〜2.1%含むものを「鋼(はがね)」と呼び、炭素が多すぎると「鋳鉄(ちゅうてつ)」となり、これはまた別の分類になります。

前回と前々回ではアルミと板金の規格についてまとめました。
まず読んでいない方は、下記リンクからそちらの記事も見てみてください!

■アルミ材質の一覧表はコチラから
  ↓↓↓

■板金の一覧表はコチラから
  ↓↓↓

目次

鉄鋼材料について

鉄鋼材料の一覧(材質名・記号・特徴・用途)

材質名 材質記号 主な特徴 主な用途例
構造用圧延鋼材(一般構造用) SS400 安価で汎用性が高い。硬度・精度は低め。 フレーム、ブラケット、溶接構造物
機械構造用炭素鋼 S45C 熱処理により高強度が得られる。バランスが良い。 シャフト、歯車、ピン、ベース部品
炭素工具鋼 SK3 / SK5 高硬度で耐摩耗性に優れるが脆い。研削加工が必要。 金型部品、カッター、スリッター刃物
合金構造用鋼 SCM435 Cr-Mo鋼。高強度・靭性・熱処理性に優れる。 高強度シャフト、ギア、ボルト
ばね鋼 SUP10 高い弾性限と疲労強度を持つ。板バネに多用される。 スプリング、ばね、衝撃吸収部品
快削鋼 SUM24L / SUM23 被削性が非常に高く、加工しやすい。ネジ部品に最適。 精密ネジ、スペーサー、加工部品
磁性材 SUYB / SUYP 磁気特性に優れ、電磁機器部品に使用される。 モーターコア、リレー、電磁石部品
新田設計

機械設計業界でよく使われる鉄鋼材料は「SS400」と「S45C」かと思います。(その機械業界にもよりますが、、、)

ですので初めて設計をする方は、最低限SS400S45Cの規格だけでも覚えておきましょう!

SS400とS45Cの規格

材質 区分 主な板厚(mm) 備考
SS400 薄板(1~6mm) 1.6 / 2.3 / 3.2 / 4.5 / 6.0 汎用構造材として最も流通量が多い
中厚板(6~25mm) 9 / 12 / 16 / 19 / 22 / 25 建築・機械構造用途などに使用
厚板(25mm以上) 28 / 32 / 36 / 40 / 50 / 60 / 75 溶接構造物や大型部品に使用
S45C 薄板(やや流通少) 3.0 / 6.0 構造部品向けにはあまり使われない
中厚板 9 / 12 / 16 / 19 / 25 シャフトやギアなどの素材に多用
厚板 28 / 32 / 36 / 40 / 50 熱処理後の高強度部品に適する
材質 区分 代表寸法(mm) 備考
SS400 丸棒(Φ径) Φ6 / Φ8 / Φ10 / Φ12 / Φ16 / Φ20 / Φ25 / Φ30 / Φ35 / Φ40 / Φ45 / Φ50 機械構造用・補強用途など幅広く使用
六角鋼・角鋼材など 6 / 10 / 13 / 16 / 19 / 22 / 25 / 32 / 38 ボルト・ナットなどの素材に使用される
S45C 丸棒(Φ径) Φ6 / Φ8 / Φ10 / Φ12 / Φ16 / Φ20 / Φ25 / Φ30 / Φ35 / Φ40 / Φ45 / Φ50 シャフト・ピン・高強度部品に多用
新田設計

SS400とS45Cの代表的な規格を書いておきました。
しかし材料規格は取引先メーカーによって異なります。これ以外にも対応規格は多々あるかと思います。
なので新入社員の方は、先輩や上司によく使う材料規格の一覧表などを貰っておきましょう!

ステンレス材料について

グレード(JIS) 特徴 主な用途 分類
SUS304 最も汎用的なステンレス。耐食性・加工性・溶接性に優れ、幅広く使用される。 製缶品、食品機器、建築部材、ネジ、装置部品など オーステナイト系
SUS303 SUS304の快削性強化材。被削性が非常に良く、切削加工に適する。 旋盤部品、ネジ、小型精密部品など オーステナイト系(快削)
SUS316 Mo添加により、SUS304より耐食性が高く、塩水や薬品にも強い。 化学機器、船舶部品、医療機器、屋外構造物など オーステナイト系
SUS430 安価で磁性があり、家庭用・厨房設備などで使用される。 家電部品、厨房機器、建材など フェライト系
SUSXM7 SUS304にCuなどを添加した冷間加工向けネジ用鋼。加工割れしにくい。 ボルト、ナット、小型締結部品など オーステナイト系(ネジ・冷間加工向け)
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機械設計でよく使うステンレス材料は「SUS304」かと思います。(その機械業界にもよりますが、、、)

ですので初めて設計をする方は、最低限SUS304の規格だけでも覚えておきましょう!

SUS304の規格

材質 区分 代表寸法(mm) 備考
SUS304 板厚(プレート材) 1 / 2 / 3 / 4 / 5 / 6 / 8 / 10 / 12 / 15 / 20 / 25 / 30 / 35 / 40 / 45 / 50 機械部品や装置フレームに使用される定番材
丸棒(Φ径) Φ2 / Φ3 / Φ4 / Φ5 / Φ6 / Φ8 / Φ10 / Φ12 / Φ16 / Φ20 / Φ25 / Φ30 / Φ35 / Φ40 / Φ45 / Φ50 シャフト・軸・ピン・締結部品に広く使用

鉄、ステンレスの加工方法について

分類 加工方法 特徴 主な用途
切削加工 フライス加工 平面や溝、段差などを高精度に削る ベース・スライド部など
旋盤加工 回転体の外径・内径・ねじ加工に適する シャフト・ピン・ブッシュなど
ボーリング 内径の仕上げに使用され高精度 パイプ内径・精密穴あけ
リーマ加工 穴の寸法仕上げや公差確保に使う ボルト穴・ベアリング穴
穴あけ・開先加工 ドリル加工 下穴や通し穴など、最も基本的な加工 取付穴・ボルト穴など
開先加工 溶接のために端面を斜めに削る加工 溶接前の準備加工
曲げ加工 プレスブレーキ加工 板金を直角または曲線に曲げる ブラケット・カバー類
ロール曲げ 円筒や曲面形状を成形する 筒型構造物・タンク部品など
溶接加工 アーク溶接 最も一般的で強度が高くコストも安い フレーム・溶接構造物
TIG溶接 仕上がりが美しく精密加工に向く 薄板部品・装飾部品
CO₂溶接 自動化が容易でスパッタが少ない 量産品・自動車部品
熱処理 焼入れ・焼戻し 強度や硬度を向上させる処理 シャフト・ギア・工具部品
焼なまし 加工前に軟化させたり歪を除去する 溶接後の応力除去など
表面処理 黒染め 防錆+外観向上(黒色仕上げ) 工具・ネジ・工業製品
メッキ 亜鉛・ニッケルなどで耐食性を高める ボルト・装飾部品・筐体など
塗装 保護+色分けや装飾目的で行う 外装・カバー・構造体

フライス盤の加工機械イメージ図

旋盤の加工機械イメージ図

終わりに

今回は機械設計でよく使う鉄鋼材料とステンレス材料についてまとめておきました。

鉄鋼材料(SS400やS45Cなど)とステンレス材料(SUS304やSUS430など)は、機械設計においてそれぞれ異なる特性と用途を持っています。
コストや強度、耐食性、加工性といった観点から、最適な材質を選定することが、製品の品質や耐久性に大きく関わります。

本記事を通じて、代表的な鉄とステンレスの材質や規格、加工方法について理解が深まり、日々の設計業務に役立てていただければ幸いです。

今後も本サイトでは、機械設計や材料選定に役立つ情報を分かりやすく発信していきますので、ぜひブックマークや他の記事もご覧ください。

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