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【位置度】最大実体公差を分かりやすく解説

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最大実体公差をなるべく分かりやすく解説していこうと思います。幾何公差の位置度の中でも特に難しいと思う方が多いのが最大実体公差ですが、この記事では基礎の基礎から分かりやすく書いていこうと思っております。

新田設計

現役機械設計者の新田設計が、最大実体公差について分かりやすく解説していこうと思っています。
位置度についても過去記事を書いてありますので、まだ読んでいない方は先にそちらも読んでおいてください!

目次

最大実体公差について

最大実体公差とは!?

最大実体公差方式(Maximum Material Condition:MMC)とは、部品のMMC(最小の穴)から穴径が大きくなるにつれて、その「差分」がそのまま位置度の公差に加算されます。

最大実体公差ありとなしの図面表記について

新田設計

う~ん、教科書に書いてあるような事を見てもよく分からないですね💦

一旦最大実体公差のJISを確認してみました。
しかしこれが大きな落とし穴、、、

最大実体公差のJISを確認してみたところ下記のように書かれていました。

製図-幾何公差表示方式-最大実体公差方式及び最小実体公差方式(JIS B 0023)

引用:JIS B 0023
引用:JIS B 0023
新田設計

これは機械設計者の新入社員あるあるなのですが、最大実体公差について独学で勉強しようと思ってJISを調べてみると、むしろ書いてあることが意味不明すぎて逆に心が折れてしまう現状です笑

実際に図面を例にして解説していきます

新田設計

JISの表記は難しいので、実際にある図面の例で解説していきます。
一般的な寸法公差で図面を書いた場合と、幾何公差+最大実体公差で書いた場合について説明します。

例えばこのように穴と軸の部品があったとします

穴の部品を下図のような寸法公差で図面を書いたとします

ここでは分かりやくするため、あえて軸の部品は「±0mm」とします

もし穴寸法が最小(φ10.1)だった場合、ピッチ公差の成立性は下図のようになります。

穴径最小(φ10.1)の成立性判定

  • 59.8mm干渉のためNG
  • 59.9mm : クリアランス0mm
  • 60.0mm成立
  • 60.1mm : クリアランス0mm
  • 60.2mm干渉のためNG
新田設計

穴径が最小(φ10.1)だった場合、ピッチ公差が厳しくないと穴の部品に軸の部品が入らない可能性があります。

しかし穴寸法が最大(φ10.3)だった場合、ピッチ公差の成立性は下図のようになります。

穴径最大(φ10.3)の成立性判定

  • 59.8mm成立
  • 59.9mm成立
  • 60.0mm成立
  • 60.1mm成立
  • 60.2mm成立

穴径が小さい場合はNGになる可能性があり、穴径が大きい場合はOK部品になる。
つまり穴部品の寸法公差は、OK品の場合とNG品の場合の両方のパターンがあるということになります。

穴ピッチ公差と穴径公差の関係をまとめると、成立性は下記のようになります。

穴ピッチ \ 穴径 φ10.1
(最小/公差0)
φ10.2
(公差+0.1)
φ10.3
(最大/公差+0.2)
59.8mm 干渉のためNG クリアランス0mm 成立
59.9mm クリアランス0mm 成立 成立
60.0mm 成立 成立 成立
60.1mm クリアランス0mm 成立 成立
60.2mm 干渉のためNG クリアランス0mm 成立
新田設計

今回の図面は穴径が大きければ成立しますが、穴径が小さく出来てしまった場合、ピッチ公差によっては取り付けできない(NG部品)となってしまいます。
なので図面として成立させるには穴径を大きくするか、ピッチ公差を厳しくする変更が必要となります。

図面を成立する寸法公差に変更

ピッチ公差を「±0.2」から「±0.05」に変更します

ピッチ公差を「±0.05」に変更すると部品の成立性は下記のようになります

穴ピッチ \ 穴径 φ10.1
(最小/公差0)
φ10.2
(公差+0.1)
φ10.3
(最大/公差+0.2)
60.05mm 成立 成立 成立
60.00mm 成立 成立 成立
59.95mm 成立 成立 成立

実際はφ10.1の時に60.05mmや59.95mmでは、クリアランス0mmの状態(隙間が0mmで擦って入る状態)はNGとなる会社もありますのでご注意ください。

※今回は説明用なのであえて±0.05mmに設定しています

新田設計

こうすることで、どの組み合わせでも成立する図面になりました!

ただここで思うのが、φ10.2やφ10.3で穴が空けられた場合、ちょっと過剰クオリティになっていると思いませんか?

もともと下図のように穴部品と軸部品が入ればOKなので、穴が大きく空けられていた場合は、ピッチ公差はもっと緩くても部品は入るはずです。

ここでいよいよ最大実体公差の出番です!!

最大実体公差で上記の図面を書いた場合

穴ピッチ公差±0.05mmを位置度に変更して、0.05に最大実体公差のⓂを付けます

このⓂを付いたことで何が変わっているのか?

新田設計

上記のように穴が大きかった場合は、60±0.05mmでなくても軸部品が入るので、大きくできていた場合その広がった分ピッチ公差を緩めてもよいよ!ってことになります。

※厳密には三次元測定機で部品測定する場合、測定方法のニュアンスは異なるのですが今回はイメージを湧いてもらいたいのであえて簡単に説明しています。

実際の成立性は下記のようになります

穴ピッチ \ 穴径 φ10.1
(最小/公差0)
φ10.2
(公差+0.1)
φ10.3
(最大/公差+0.2)
60.15mm 干渉のためNG 干渉のためNG Ⓜであれば成立
60.10mm 干渉のためNG Ⓜであれば成立 Ⓜであれば成立
60.05mm 成立 成立 成立
60.00mm 成立 成立 成立
59.95mm 成立 成立 成立
59.90mm 干渉のためNG Ⓜであれば成立 Ⓜであれば成立
59.85mm 干渉のためNG 干渉のためNG Ⓜであれば成立

本来寸法公差±0.05や、最大実体公差がない位置度の場合は、60.05mm~59.95mmでなければNG部品となってしまいますが、ⓂがあることでOKエリアを増やすことが出来て部品のコストダウンになります。

終わりに

以上、最大実体公差(Ⓜ)がもたらす設計上のメリットを整理しました。

「組み立てに問題がなければ合格にする」という合理的かつコスト意識の高い設計指示は、これからのものづくりにおいて欠かせないスキルです。
実務における具体的な測定アプローチや、さらに詳細な仕様への適用については、新田設計が提供するWeb講習会で詳しく解説しています。

幾何公差を「知識」から「実力」へ。ご興味のある方は、ぜひ一度お問い合わせください。

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