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【機械設計】よく使われる樹脂材料の特徴と用途を一覧

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機械設計において欠かせない材料のひとつが「樹脂(プラスチック)」です。
金属材料と比較して、軽量・絶縁・耐薬品・摺動性などの特性を持ち、使用環境や目的に応じてさまざまな場面で活用されています。

本記事では、POM(ジュラコン)・MCナイロン・PTFE(テフロン)・PEEKなど、機械設計で特によく使われる代表的な樹脂材料について、それぞれの特徴・JIS規格・連続使用温度・主な性能などを一覧表でわかりやすく解説します。
部品の材質選定や、設計段階での検討材料として、ぜひ参考にしてください。

なお、設計現場で「樹脂」と呼ばれる材料は非常に多岐にわたり、汎用樹脂(PPやABSなど)から、エンプラ(POMやPCなど)、さらにスーパーエンプラ(PEEKなど)まで、機械的強度や耐熱性に応じたグレード分けがされています。
また、同じ樹脂名でも添加剤や成形方法により性質が異なることがあるため、製品要求に合わせた適切な選定が重要となります。

新田設計

これまでの記事では、「アルミ」、「板金」、「鉄、ステンレス」の規格についてまとめました。
まず読んでいない方は、下記リンクからそちらの記事も見てみてください!

■アルミ材質の一覧表はコチラから
  ↓↓↓

■板金の一覧表はコチラから
  ↓↓↓

■鉄、ステンレスの一覧表はコチラから
  ↓↓↓

目次

樹脂材料について

樹脂材料の一覧(材質名・記号・特徴・用途)

材質名 材質記号 主な特徴 使用温度(℃) JIS規格
ポリアセタール POM
(ジュラコン)
高強度・耐摩耗性・加工性に優れる 100~120 JIS K 7009  
MCナイロン MC901 自己潤滑性・耐摩耗性が高い 100~120 JIS K 7011
テフロン PTFE 耐薬品性・滑り性・絶縁性が非常に高い 260 JIS K 6884
ポリエーテルエーテルケトン PEEK 高耐熱・高強度・耐薬品性に優れる 250~260 JIS K 7209
ポリプロピレン PP 軽量・耐薬品性が高くコストも安い 90~100 JIS K 6760
アクリル PMMA 透明性が高く、外観部品に適する 80~90 JIS K 6733
ポリカーボネート PC 透明性と耐衝撃性を兼ね備える 120~130 JIS K 6735
ABS樹脂 ABS バランスの良い機械特性と成形性を持つ 70~90 JIS K 7203
新田設計

機械設計業界でよく使われる樹脂材料は、業界によってかなり異なるので一概に言えませんが、私の場合は「POM」、「MCナイロン」、「ABS」などが多かった印象です。

その他では、もし透明で使いたいなら「PMMA」や「PC」、
もし耐熱部品や強度部品として使いたいなら「PEEK」といった感じです。

※この辺は業界や会社によって使用材質が分かれるかと思います

POMの規格

分類 代表的な板厚(mm) 主な用途例
薄板 1 / 2 / 3 スペーサー、薄型治具、軽荷重スライド部品
中板 5 / 6 / 8 / 10 / 12 / 15 歯車、カム、摺動部材、ブッシュ
厚板 20 / 25 / 30 / 35 / 40 / 50 ベースプレート、切削加工用素材、ガイドブロック

POM丸棒(Φ材)の代表的なサイズ

直径(Φ) 標準長さ(mm) 主な用途例
Φ10 / Φ12 / Φ15 / Φ20 1000 小型シャフト、ピン、治具部品
Φ25 / Φ30 / Φ35 / Φ40 / Φ45 / Φ50 1000 滑り材、カム、摺動ガイド
Φ60 / Φ70 / Φ80 / Φ90 / Φ100 1000または2000 機械加工用素材、大型ブッシュ
Φ110 / Φ120 / Φ130 / Φ150 500または1000 厚肉部品、ベース構造体
新田設計

POM(ポリアセタール)の代表的な規格を書いておきました。
しかし材料規格は取引先メーカーによって異なります。これ以外にも対応規格は多々あるかと思います。
なので新入社員の方は、先輩や上司によく使う材料規格の一覧表などを貰っておきましょう!

性質の異なる3種の比較表

項目 POM(ジュラコン) MCナイロン PEEK
比重 1.41 1.15 1.31
連続使用温度(℃) 100~120 100~120 250~260
耐摩耗性
耐熱性
自己潤滑性
切削加工性
コスト感(目安) 比較的安価 中程度 非常に高価
主な用途 ギア、カム、ベアリング、治具 滑り材、ブッシュ、スライド部品 半導体製造装置、航空・医療部品
新田設計

樹脂の中でも「PEEK」材料は高価なので、どうしても機械スペック的に必要な場合に使用するようにしましょう!

あまり高価な材料を選定すると、先輩や上司に怒られてしまうかもしれないので笑

終わりに

樹脂材料は、軽量化や絶縁性、摺動性、耐薬品性など、金属では対応しにくい特性を活かすことができる、非常に魅力的な設計材料のひとつです。
POM、MCナイロン、PTFE、PEEKなど、それぞれの材質が持つ特性や加工性を理解し、目的に応じた最適な材料選定を行うことが、製品の品質やコストに大きく影響します。

本記事が、樹脂材を検討・選定するうえでの参考になれば幸いです。
今後も金属材料に加えて、樹脂材の特性を活かした設計提案がますます重要になっていくことでしょう。

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